花粉症とは、どんな病気?
花粉症とは、植物の花粉によって引き起こされる、アレルギー性の病気です。今や日本人の10人に1人は花粉症であり「現代の国民病」とも言える病気です。
アレルギー性の病気は、いわゆる「アレルギー体質」の人にしか起こりません。アレルギー体質のない人では、同じように花粉と接触しても花粉症にはなりません。花粉症になるかどうかは、いわば遺伝的なものが影響しているという説もあります。
アレルギーの原因となる植物が開花して、花粉が飛散する時期に症状が現れます(季節性)。例えば、スギ花粉症の場合は、スギ花粉の飛散量が増える2~4月にかけて症状が現れ、その時期が過ぎれば症状は消えてしまいます。
4大症状
- ①くしゃみ
- 7~8回、さらには10数回続けざまに出るのが特徴です。
- ② 鼻水
- 水のように透明で、サラサラした鼻水が止めどなく流れ出てきます。
- ③ 鼻づまり
- 風邪による鼻づまりに比べ、症状がひどく両方の鼻が完全につまり、口で呼吸をするようになります。
口で呼吸をするようになると、よく眠れない・のどが乾く・のどが痛むなどの症状がでてきます。 - ④ 目のかゆみ
- 花粉が目に入ると、涙が出て強いかゆみを伴います。
「眼球結膜炎」と呼ばれる白目の部分や、まぶたが腫れぼったくなります。 - ⑤ その他
- 皮膚の症状は肌荒れ・かゆみ・皮膚の炎症、耳の症状はかゆみ、全身症状は頭が重い・ボーッとする・だるい・眠れないなど。
花粉症の出方は毎年違います
猛暑の翌年は、スギ花粉の飛散量が多いと言われています。これは花粉を作る雄花の花芽の成長が、前年の夏の気象と密接に関わっているからです。特に、前年の7月上旬~8月上旬の気温が高いと、スギ花粉の生産量が増えて、花粉の飛散量も増大します。
気象は、花粉の飛散が始まる時期にも影響を与えます。暖冬の年にはスギ花粉は早めに飛び始めますから、いつもより早めに対策を講じる必要があります。
[目安]
一日の平均気温が7度を超え、最高気温が10度以上になると花粉が飛び始めると考えてください。
花粉症の診断と検査
- ① 問診
- 症状とその現れ方で、花粉症との関係を推察します。
さまざまな情報が診断に役立ちますので、詳しく質問に答えてください。 - ② 診察
- 鼻の粘膜の状態と、鼻の中の様子を診察します。
- ③ 鼻汁検査
- 診察時に綿棒で鼻水を取り、スライドガラスに塗り、染色をして顕微鏡で好酸球(白血球の一種でアレルギー反応が起こると増加するもの)を調べます。
- ④ レントゲン検査
- 鼻にアレルギー以外にも鼻炎の原因となる病気がないかを調べます。
蓄膿症の発見・鼻中隔わん曲症の発見にも有効です。アレルギー性鼻炎と蓄膿症が合併していることも少なくありません。
スギ花粉では、蓄膿の合併率は10%、ダニやハウスダストでは20~30%と考えられています。 - ⑤ 血液検査
- 採血を行い、代表的なアレルギーの原因となるものを調べます。
治療について
(花粉症治療の薬について)
花粉症が完治できなくても症状さえコントロールできれば、日常生活への支障も最小限に抑えることができます。
薬は花粉症の症状をコントロールし、花粉症シーズンを快適に乗り切るため、欠かせない治療法なのです。
- ① 抗アレルギー剤
- 内服薬・点鼻薬・点眼薬があります。すぐに効果はありませんが、効果が出るまで1~2週間使い続ける必要があります。
主として、予防用に用いられるもので、花粉症の飛散開始前から服用を始め、シーズン中ずっと飲み続けます。 - ② 抗ヒスタミン薬
- アレルギー反応を起こす化学物質です。ヒスタミンの作用を妨げ、くしゃみ・鼻水を抑える効果があります。内服して1~2日で効果があります。
- ③ 血管収縮薬
- 鼻粘膜の血管を収縮させて、血管循環を減らします。その結果、粘膜の腫れが治り鼻づまりが改善されます。
- ④ 抗コリン薬
- アセチルコリンという鼻水の分泌に必要な化学物質を抑制し、その作用を遮断する働きがあります。短時間で効果があります。
- ⑤ ステロイド薬
- 内服薬・点鼻薬・点眼薬があります。
- ⑥舌下免疫療法
-
舌の下にスギ花粉のエキスを垂らし、2分間保持した後、飲み込みます。
これを徐々に量を増やしつつ毎日続けることで、身体をスギ花粉に慣らし、アレルギー反応の起こらない体質へ改善していきます。以上の薬を、症状や職業・ライフスタイル・ご希望に応じて処方いたします。
[気を付けてほしいこと]
- 持病の有無、市販薬を含め現在内服中の薬については、必ず医師に話してください。薬の飲み合わせには十分注意が必要です。
- 点鼻薬をする前には、必ず鼻をよくかんでから使用してください。使用回数は、医師の指示を守ってご使用ください。
日常生活について
花粉飛散情報を忘れずにチェック
テレビ・ラジオ・新聞による情報を得るようにする。
症状が出る前の受診
治療の中心になるのは、抗アレルギー薬による予防的治療です。
症状が現れる前から服用することで、花粉症の症状を出しにくくします。
花粉症を避けるセルフケアーで症状を予防
- 花粉の飛散量が多そうな日はなるべく外出を控えましょう。
- 外出する場合は、マスクや眼鏡を着用し、花粉をシャットアウトしましょう。
- コンタクトレンズを使用している方は、この時期はなるべく「眼鏡」にしましょう。
- 花粉が首に入り込まないように、襟のつまった衣服を着たり、スカーフを使用しましょう。
- ツバの広い帽子をかぶり、頭髪に花粉が付くのを防ぎましょう。
- 外から帰ったときは、玄関の前で花粉をよく払ってから家の中に入りましょう。洋服ブラシを使用すると良いです。
- 帰宅後は洗顔・うがいをしましょう。できれば鼻も洗うと良いです。体温程度のお湯を鼻から吸い込み、鼻から出します。
- 洗濯物を取り込む際には、よく払って花粉を落としてから、家の中に入れてください。
- 布団を干したときは、外で十分たたいてから取り込み、さらに掃除機で花粉を吸い取ります。なるべく、布団乾燥機を使用し、この時期は外に干すのを控えた方が良いです。
- 室内を舞う花粉を減らすには、空気清浄機が効果的です。
- こまめに掃除機をかけ、床は雑巾がけが一番良い方法です。(水拭き)