アルゴンプラズマ治療
当院では、アレルギー性鼻炎に対する手術治療として、アルゴンプラズマ治療を行っています。
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダスト・ダニなどの原因物質(アレルゲン)が鼻の粘膜に接しアレルギー反応を引き起こすことで生じます。アルゴンプラズマ治療により鼻粘膜を焼灼し新しい粘膜を再生させ、鼻粘膜におけるアレルギー反応を軽減させる事が出来ます。
手術時間は5~10分ですが、手術前に20分~30分かけて粘膜麻酔を行います。
術後には、感染予防の抗生剤・出血予防の止血剤・消炎鎮痛剤・抗ヒスタミン剤・鼻閉改善用の点鼻薬など投薬を行いますが、できるだけ通院治療を行っていただきます。
また、鼻の構造上1回で完全に焼灼できない場合は2・3回に分けて行います。
手術を行っても改善しない場合や、再発する場合は再治療が必要になります。再治療は、アルゴンプラズマ治療を行うか、トリクロル酢酸塗布治療をするかの2つの方法があります。
治療について
- プラズマを使用しますので、ペースメーカーなど埋め込みされておられる方には使用できません。
- 手術は局所麻酔にて行いますが、滑走電流により歯痛が出ることがあります。
- 術後出血はほとんどありませんが、手術日の入浴・飲酒は控えていただきます。
- 術後新しい鼻粘膜再生まで2~3週間かかります。この間、かさぶたや糊状の分泌物が充満し、鼻が詰まります。
- 手術費用は保険適用です。
トリクロル酢酸塗布治療
トリクロル酢酸という酸により鼻粘膜を変性させ、新しい粘膜を再生させる方法です。
レーザーやアルゴンプラズマのような機械を使わず、綿棒の先につけたトリクロル酢酸を鼻粘膜に塗布するだけの簡便な方法であり、簡単な局所麻酔で治療は可能です。
当院では、アルゴンプラズマ治療の補助的な治療というスタンスで行います。
アルゴンプラズマ治療と
レーザー治療との違いについて
アレルギー症状が出ていても治療が可能
アレルギー性鼻炎の治療によく使われている炭酸ガスレーザーは、鼻水が出ている状態ではうまく焼くことができません。
これに対し、アルゴンプラズマ治療はアルゴンガスで鼻水を吹き飛ばしながら処置できるため、アレルギー症状が出ているときでも可能です。
短時間で均一な処置が可能
レーザー治療は、レーザー光線の当たる点で焼くため、広い面積を焼灼するのに時間がかかります。下鼻甲介全体を焼灼するのに10~30分くらいかかります。
これに対して、アルゴンプラズマ治療は面で焼灼するため5~10分位で終了します。また、レーザーは点で焼灼するため格子状に行いどうしてもムラができますが、アルゴンプラズマ治療は面で焼灼するため均一に処理できます。
つまり、理論的には再発が少なくなると思われます。
治療回数を抑える事が可能
レーザー治療は数回の照射が必要となっていますが、アルゴンプラズマ治療は原則1回とされています。
ただ、鼻中隔湾曲が強い場合は2~3回行うか、トリクロル酢酸塗布を追加するか、鼻中隔矯正手術を行ってからアルゴンプラズマ治療を行うかになると思われます。